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園部容子著『子供の生きる国』

2010.04.10 (Sat)

子供の生きる国―産んで育てて、ニッポン・イギリス・フランス
久しぶりに、子育て関連本を読み切りました。「一般的」と思っていたことが実は全然一般的じゃないという事態、つまり「無知の知」の瞬間をたくさん経験することで人間が成長できるのだとしたら、まさに異国で出産し子育てするというのは、生まれてくる子ども以上に親が成長できる機会になると、この本は示してくれていました。

「イギリスでは○○」「アメリカでは☆☆」という学者を「ではのかみ」と呼ぶそうですが、とはいえ、「○○ではチョット違う」「☆☆では逆」をたくさん知っていることは、いろんな面で「こんな風に感じるのは自分だけ?」「ウチの子どもはヘン?」ということで悩むのは少ないと思います。「そもそも人とまったく一緒なんて無理」という自己確立にもたどり着きやすくなるはずです。

イギリスとフランスで出産と子育てをした著者の、まさに生活者の視線で書かれたこの本は、へんな狙いもなくストレートな感じ方やカルチャーショックが溢れた旅行記のような感覚で読めました。子育て本の中には「これぞ正しい子育てだ!」という教条主義的な内容で書かれたモノもあり、食傷気味になることもありますが、この本に関しては素直な反応に「あ~僕もそう思うだろうな」と読めました。

心に残った箇所はいくつかありましたが、その中の一つに「どの年代も『親組』は『子供組』に、いいなあ、と羨ましがられるくらい、人生を楽しんでいたいものだと思う。『大きくなりたいなあ』『あんな風に年を重ねたいなあ』と思える次世代の人々がいる社会にこそ、夢はある。」というのがありました(196ページ)。

子育て支援はもちろん賛成です。でも、僕もいつも講演の最後に言ってますが「大人がニコニコ過ごしている」「大人が楽しそうに暮らしている」という姿を見せることが、実は一番の子育て支援でもあり、次世代の希望になります。子育て支援を考えるうえで大切なことは、支援する大人達自身が人生を楽しんでいることです。大人が支援するにしても、「自分のような大人になって欲しくない」という姿勢では、なんのための子育て支援?となってしまいます。大人の献身や犠牲があまりにも大きいと、支援される「良い子」はアダルト・チルドレンになるだろうし、「普通の子」は「自分には無理」「大人になるとタイヘンだからなりたくない」になるのは当然です。子育て支援とは、大人自身に自分への振り返りを求める、ある面では酷なことです。つまり、それが社会にシッカリ根ざしている社会とは、「大人な社会」であるということでもあります。

イギリスがイイか?フランスがイイか?はたまた日本の方がイイのか?それは個人の感覚や好みに寄るものです。ただ、子育てに真っ正面から向き合っている英仏両国は少なくとも、その面では「大人な社会」といっていいでしょう。この本のこの箇所から、そんな印象をもちました。

これ以外にも、いろんな刺激がある本でした。

最後に、この本が「新風舎」という自費出版ベースの今は無き出版社から出版されている事実に驚きます。まだまだこの本が出版された2005年には、日本の子育てを検証するという姿勢が、大手出版社には浸透していなかったことを思い知らされます。今は、どうかわかりませんが…。
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